Excelを使用してゲイン線図を描く方法について解説します。
ゲイン線図の描き方
ゲイン線図は以下の手順で作成します。Excelは4番以降で使用します。
- 回路から方程式を求める。
- 求めた方程式をラプラス変換し、伝達関数を求める。
- 伝達関数をフーリエ変換し、大きさを求める。
- 描く範囲の周波数とゲインを求める。
- グラフの作成と設定を行って完成。
回路から方程式を求める。
今回は例としてRC直列回路を使用します。
回路に流れる電流を$i(t)$として方程式を立てると、
$E=Ri(t)+v_c$
$=RC\frac{dv_c(t)}{dt}+v_c$
となります。
求めた方程式をラプラス変換し、伝達関数を求める。
1で求めた方程式$E=RC\frac{dv_c(t)}{dt}+v_c$をラプラス変換すると、
$E=(RCs+1)V_c$
となります。これを用いて電源電圧EからコンデンサCの電圧$v_c$への伝達関数$G(s)$を求めます。入力がE、出力が$v_c$であるため、伝達関数は以下のようになります。
$G(s)=\frac{V_c}{E}=\frac{1}{RCs+1}$
伝達関数をフーリエ変換し、大きさを求める。
2で求めた伝達関数$G(s)=\frac{V_c}{E}=\frac{1}{RCs+1}$をフーリエ変換すると、
$G(jω)=\frac{1}{jωRC+1}$
となります(s→jω、jは虚数単位、ωは角周波数[rad/sec])。これの絶対値をとることで大きさを求めることが出来ます。
$|G(jω)|=\frac{1}{\sqrt{1+(ωRC)^2}}$
描く範囲の周波数とゲインを求める。
今回は範囲を0.01~10rad/sec、R=47kΩ、C=0.1mFとしてゲイン線図を描きます。
ゲイン線図は横軸を周波数、縦軸をゲインとして描くのでまずは周波数を求めます。
A列のように範囲内の角周波数を書き込み、B2に「=A2/(2*PI())」という式を作成します。これは周波数を求める以下の式をExcel上で表したものです。
$f=\frac{ω}{2\pi}$ [Hz]
B2セルの右下にカーソルを持っていき、「+」の形になったら下に引っ張ってください(オートフィル)。すると図のB列のようになると思います。
次にゲインを求めます。ゲインは以下の式で求めることが出来ます。
$20log|G(jω)|$ (底は10)
この式に3で求めた$|G(jω)|$とR、Cの値を代入します。それをExcel上で表したものが
「=20*LOG10(1/((1+(4.7*A2)^2)^(1/2)))」
であり、これをC2に書き込みます。そしてB列と同様に下まで引っ張ることで図のような表が出来上がります。
図の作成と設定を行って完成。
まず、4で作成した表の周波数とゲインの数値を選択します。次に、上のタブの挿入から散布図(平滑線)を選択してください。すると、以下のようにグラフが出てきます。
グラフの右上の「+」をクリックし、「軸」の右側にある「>」をクリック、その他のオプションを選択します。
すると図のような画面になるので、少し下にある「対数目盛を表示する」にチェックを入れます。これでゲイン線図になりました。
また、縦軸、横軸、それぞれのラベルを選択し、ラベルの位置を「下端/左端」にすることで整った見た目にすることが出来ます。
最後に、「軸ラベル」と目盛線の「第1補助縦軸」にチェックを入れて、グラフタイトル、軸ラベルを編集します。
これでゲイン線図の完成です。この場合だと、周波数が大きくなるにつれてゲインが低下しているので、RC直列回路がローパスフィルタとして機能することが確認できますね。
お疲れ様でした。終わり!!
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